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小飛姐、中原にて堕ちる巨星を眺む。

03 18, 2013 | Posted in 三國志X | Thema ゲーム » ゲーム

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「雲長さん、約束は忘れてないんだよ。アンタ達が玄徳氏に着いていくっていうなら義兄弟なんだ、勿論留めやしない。」

曹丕の首を父の霊前に供え、玲綺は振り向いた。
紅顔の美髯公は腕組みをして沈思していた。想定していなかった義兄との流れに心を決めかねているようであった。

玲綺は頭をかきながら嘆息した。 
「とにかく、じっくりと考えたほうがいい。翼徳さんや孔明先生も交えて話し合うことだよ。」
 
 



 
必死に城壁から矢の雨を降らせる曹操の弓兵隊。
馬上から七星刀を打ち振るう玲綺の怒号をかき消すように、一斉に井闌から猛烈な応射が城壁の上に叩きつける。

戦上手で定評のある曹操なだけに帝都許昌の反撃は熾烈を極めたが、呂軍も剛将呂布の娘が名将関羽・天才孔明・陸伯言・賈文和という巧者達を率いている。
攻城兵器を十二分に揃えた呂軍の猛攻は徐々に曹操軍を押し込んでいった。
 
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「あー……、どうだいそっちは。やっぱ早逃げの曹操かい。」
兵舎の焦げる匂いに血の香りが混じる。報告にやってきた陸遜に振り向いて玲綺が尋ねた。

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「残念ながらね。まだ見つかっていない。噂の次元だけど落ち延びた目撃情報も少々入っているから、彼の巧みな戦術勘から考えても北方へ早めに脱出した可能性は少なくないね。」

深く息を吐く玲綺。焦げた兵舎内の椅子に腰掛ける。

「向こうはまだ後背に大きく勢力圏を持っているからね。皇帝陛下を置いていっても十分に立て直せるって目算があるんだろう。」
予想外の陸遜の言葉に顔を上げる玲綺。

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「!……皇帝置いていったのかよ!?」



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不安を隠せない表情の帝ではあったが、玲綺はぎこちないながらも丁寧に迎えた。
(皇帝と会う作法なんて知らないよ……)そう思いつつも州牧の官位をもらっている以上、自分が挨拶しないわけにはいかない。

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「あー……不調法なもので、あとは夫の伯言が陛下の身の回りのお世話は手配しますんで……」
引きつった笑いを浮かべて最低限の応接だけ済ませ、逃げるように陸遜にたらいを回す。

(なんか色々と大変なことになってきたなぁ……)廊下に出ると疲労を感じて天を仰ぐ玲綺だった。



河北の大都市鄴へ逃げ延びた曹操との死闘は更に激しくなった。
いきなり奥地の鄴へと補給線を伸ばすわけにも行かず、呂軍は陳留・汝南と確実に曹軍の拠点を侵食していく。
一方で曹操も果敢に反撃に出、鄴の曹操・洛陽の曹仁・長安の曹丕等多方面から進攻を受ける。

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特に許昌~官渡は激戦地であり、この地に築いた城塞を巡って北方西方の曹軍と何度と無く激戦が繰り広げられた。
そんな中でも呂軍は南方から曹軍を少しずつ押し上げて行き、寿春・濮陽と制圧する中、玲綺は中郎将の叙任を献帝から受ける。

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(漢にしてみりゃ曹操と内輪もめしてるだけじゃねーか。こんなので何で官位がもらえるんだ?)
帝は自分の機嫌を取るために与えているのだろうか。それとも身の回りの誰かが玲綺を持ち上げているのだろうか。



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「ねぇ、アタシに黙ってコソコソ皇帝に何かしているってことは無いよね。
 それとも誰か他の人が何かやってるって話は聞いたこと無い?」
就寝前。気になったことは直接確かめないと気が済まない玲綺だった。

「中郎将のことかい?」流石に陸遜は察しがいい。「僕じゃあないよ。」
答える陸遜の声音には嘘の香りは感じられなかった。

「ただ、」続く言葉に玲綺は彼の顔を見つめる。

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「正直、僕らの勢力も大きくなってきた。孫権軍閥も既に凌いでいる。
 一緒に戦っている仲間も非常に多い。
 君への信頼は皆それなりに同じだろうけれど、目指す未来の姿にはそれぞれ差はあるだろうね。
 もしどこかの誰かが皇帝陛下に何か働きかけたとしても、それはあり得ることだとは思う。」

考え込む玲綺の顔に陸遜は続ける。
「清濁併せ呑むしかないよ。

 零陵で旗揚げした当時のこと、覚えているだろ?
 みんな食うや食わずで、曹操が攻めてきても跳ね返せるように必死になって畑を耕して。
 あの時、君はみんなを食わせてやるんだって、それが至上の目的だったじゃないか。
 
 その気持ちを忘れちゃいけない。結果、結束力が高まるのなら、それは甘んじて受けるべきだ。
 君が貶められることならばともかく、君の力が高まり、呂玲綺軍が強くなることなら僕は利用すべきだ。
 そう考えるし、そう協力するよ。」

(そういうものなんかねぇ……)悲痛な表情の玲綺。

「僕や君はいいさ。自分の幸せだけ考えても生きてはいける。でも理想のために一緒に戦ってくれている雲長殿や翼徳殿、孔明先生はどうするの。
 それに麗風の未来は?」
仲間や娘の字に顔を上げる。

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「君が父上の仇を討ち、僕が協力する。そこまではいいさ。
 でもそこで降りたら、みんなに対する裏切りだよ? 君の仇討ちのため"だけ"の呂玲綺軍閥じゃなくなっているんだから。
 僕らは麗風達のために、しっかりとした未来を作らなくちゃいけない。君は曹操を倒した後は皇帝を担いで漢を支えなくちゃいけない。」

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「アタシ、馬鹿なのに出来るかな。」不安げに自分の腕を抱く玲綺。
その肩に手を置き、陸遜が片目をつぶった。

「出来るかじゃない。やるだけだよ。 
 君が引っ張らないで他の誰が先頭に立つの? 君の名望は荊州は勿論、もう中原にも鳴り響いている。
 戦を無くしてくれるのであれば、みんなは曹操でも君でもいいんだ。
 
 君は父親の仇を討つために時の権力者を倒す。それはいいけど、そこで放り投げたら天下はまたバラバラだよ?
 君はバラバラにした天下を、みんなのために組み立て直すところまでやらなきゃ無責任さ。

 君は父上の仇を討った後は、董卓のようにはならないようにして、父上のように人を裏切らないようにして。
 そして戦を無くして税を安くすることを認める。それだけだよ。
 税の率とか細かいところは僕や孔明先生がやるさ。」

「散らかしたら後片付けしろってか……ああ、もうそうなっちゃってるか! わかった! 何とかするよ!
 細かいところ、ホントに頼むよ!?」
半ば諦め、半ば気合を入れるように立ち上がった。自分の言葉に自分が乗るのは斬り合いの時だけではなかった。

(爸爸……アタシがこんな風になってるなんて、なんか変な感じだよ……)
窓から濮陽の星空を眺めて、寝台に潜り込んだ。



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219年、呂絹舞は成人した。

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一人前の武人の才を持って育った絹舞に玲綺も安堵したが、それ以上に父呂布の血が更に一代続いたことが誇らしかった。

※能力値的には悪くないですが、高くは無い武力の割に、一騎打ち特技がフルとか……w
 裏切らない太守としてはいいですかね。



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磐石の態勢を持ってして鄴の曹操に当たり、これを下す。しかし戦巧者の曹操は、更に河内へと逃げ伸びる。
曹操の勢力圏は既にズタズタになっていた。
日増しに逆転する曹操との勢いの差に、玲綺は大将軍位を授かる。流石にもう迷ってはいなかった。

(帝も大変だよな……こんな軍人に気ばっかり使って。アタシは帝も裏切らないんだ。
 アタシが支えてみんなが喜んでくれるんだったら、いっちょやってやるよ。)



その年の末には、流石の玲綺も赤面する出来事が起きた。



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呂玲綺、齢38にして第二子出産である。

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「ええっ!? 母上、弟か妹ですか……?」
九ヶ月前、成人したばかりの絹舞が赤面した。玲綺も赤面して妊娠を告げたのだった。

恋愛で結婚した夫婦だったため、夫婦の営みもますまずは続いていた。
いや、むしろ体力の有り余る自分はむしろ同年代の女性と比べても好んで接していたかもしれない。
しかしまさかこの歳で妊娠とは……

※まぁ女性は30代から性欲が強くなるとは聞きますが……


当時としても相当な高齢出産であっただろうが、肉体的に壮健な玲綺はやすやすと出産した。
陸遜も若干不安げではあったが、第二子の元気な泣き声に肩をなでおろした。

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「ま、正直なところ、絶対大丈夫だとは思っていたんだけどね。」絹舞に対して片目をつぶって見せる。

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二人目の娘の名前は、姉絹舞が提案した。

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「私が風に舞う絹布を意識して付けていただいたのですから、妹も同じような流れで。
 勇壮に風に靡く金の錦の旗。話に聞くお爺様の雄姿の孫に相応しい名だと思いませんか?」

ふむ、私よりずっと詩の才はあるな。絹舞が父親似で良かったと安堵する玲綺だった。

そして妊娠中の大将軍任官だったため、「英雄色を好む・中年妊婦将軍」という笑い話が後世の中国で残っている。



幸せに赤面した玲綺であったが、翌年には逆に驚愕すべき出来事が起こった。
ここ数年の間では第二子の誕生と並ぶ衝撃であった。



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報告を聞き、「ざけんな!……」腰を浮かせて怒鳴りかけ、腰を下ろす。

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「……もうあの男もいい爺ぃになってたか。」
彼は父と同年代の人間である。自分が成人した娘がいる歳なのだ。

曹操は頭脳の病で亡くなったと聞く。
(アイツの首を直接爸爸の霊前に供えてあげたかったな)
そう思う玲綺も、地獄まで追いかけていくことは出来ない。
(生き残ったアタシが勝ちってことでいいのか?)
肘掛に肘をつき、ずっと考え続ける玲綺を見守る陸遜と絹舞。

口を開こうとした二人に先んじて、玲綺は立ち上がった。

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ザマミロ曹操! どうだテメエの落ち目の中で無念に倒れた気持ちは!
 アタシらは日の出の勢いだぞ! これも爸爸の呪いさ……人を陥れたヤツはロクな死に方しないんだ……」
乾いた笑いに涙が入り混じって、力無く腰を下ろした。

(次はアタシの番だよな。曹操の配下も数え切れないほど斬ってるし、アタシもロクな死に方しない。
 ならせめて、地獄行きの扉は自分の手で開けたかったよ……)

「うぅ爸爸ぁ……仇、アタシの手で討ちたかったよぉ……」震えて顔を抑えた玲綺に絹舞が抱きつく。
「もういいですから!」

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「母上はご立派です! ここまで思いを貫いて、仇を追い詰めてみせて!
 誰も母上を不孝者などとは思いません! だから……これからはみんなと、私のために生きてください!」

すがりつく娘の涙に、頭が冷える思いだった。
曹操に未来はもう無い。だがアタシには残っているし、それを望んでいるみんながいる。
もう君の仇討ちのためだけの戦いじゃない、何度も陸遜から聞いた言葉がまたよみがえった。
袖で顔をぬぐって鼻をかんで、絹舞を抱きしめる。

「そうだね」絹舞に頬ずりする。

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「ま、馬鹿な女ってだけじゃいられないからね。二児の母だし漢の大将軍さまだもんね。
 曹操の勢力とは戦端を開いているんだ。キッチリカタはつけるけど、これからは恨みが一番じゃないよ。
 アンタたちもキッチリ力を貸してよね。」
絹舞と安堵する陸遜の顔を交互に見比べる。

三人で肩を抱き合った後、錦靡に乳を与えるべく玲綺は立ち上がった。



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河内・旧都洛陽を制圧。周辺の関も全て制圧する。
曹軍の後を継いだ曹丕も決して無能ではない軍人だが、偉大な先代を失った曹軍は既に連携して反攻出来る状態ではなかった。



「呂大将軍に是非お目にかけたいものがございまして」濮陽で世話になっていた豪商が、玲綺に面会を求めてきた。

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「まずお父上のもので間違いない品でございます。」丁寧な梱包を開けた中身に目を剥く玲綺。

手に取る。豪商に安全な距離に離れて三十回ほど取り回す。

……方天画戟は取り回しが難しいだけあって実用品は少ない。
この使い込みからしても、父が無くなった土地柄からしても、本物であろうと感じられた。



「言い値で買うよ」言い放つ玲綺に豪商は答える。「差し上げます」

眉をひそめる玲綺に「将来を買わせていただきます」と片目をつぶる豪商。
「先代魏公が亡くなった後は、まずもってして天子様を磐石に担ぐのは呂将軍でしょう。
 私はそれに賭けて、今後とも良い御用を勤めさせていただければと思う次第です。」

鼻から大きく息を吐いて腰を落とす。
「わーかった。見つけてワザワザ爸爸の形見を持ってきてくれたんだ。恩には報いるよ。忘れないさ。」
手を振る玲綺に、少し逡巡して口を開く豪商。

「……大将軍。私大将軍のお噂・お人柄を聞いた上で、命の保障をしていただきたいと思います。
 その上で、大将軍の大きな武器になることがございます。」
いぶかしがる玲綺だったが、好奇心が勝った。見込まれるのも悪い気がしない。

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「いいよ。アタシは人を裏切らないってのが信条なんだ。恩人だしね。何か変な話でも笑って流すよ。」

「……これは呂将軍以外が持つべきものでは無いと思っております。」



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「高祖が大蛇を断ち切った宝剣で間違いないと存じます……」「は!?」
震える手で豪商が、瑠璃や宝石で装丁された箱から取り出す。

柄と鞘は様々の七采珠や玉で飾られているが、これらは後から付けられたものだろう。
しかし鞘の隙間から陽の光を真っ向に跳ね返すこの刀身は何だ。

威圧されつつそっと手に取り鞘から抜くと、どんな鏡でも跳ね返さないような眩い光が目を刺した。
顔を少しそむけて目を細める。霜が乗ったような白に映える、淡く虹色に染まる刀身。

「あの……史記にございます、」「ちょっと待て!」豪商の答えを抑えて陸遜を呼びにやる。こういうのは夫でないと分からない。



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(高祖の斬蛇剣かどうかだって?……僕も実物を見たことは無いから分からないよ……)
玲綺に耳打ちされて困る陸遜。剣の目利きは玲綺のほうが上だ。

「でも凄いね……これは鋼なの? 七星刀も天下の名品だけど、この剣の前では七星刀も格下に感じられるよ。
 確かに伝国の斬蛇剣は盗まれていたって噂だけはあったけど……」
それだけ聞いても困ってしまう玲綺。

「まぁ買っておいてもいいんじゃない? とてもいい剣なのは間違いないし、僕もこの素材には興味がある。
 ひょっとして天竺にあるって聞く、錆びない鋼の柱と同じものかもしれないね。」

……嘆息して豪商から買うことにした。
しかし豪商は恐縮して「伝国の宝剣を私が献上したことは何卒ご内密に。そして口封じなど何卒こ勘弁を。」と逃げるように去ってしまった。



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「……あの焦りようからすると、彼は本物と確信するだけの何かを知っているのかもね。」
「え?」と振り向く玲綺に陸遜は続ける。

「その剣がさ、本当に漢朝の伝国の宝物だとするならば、君に渡すのは吉か凶か判断が難しいところだよね。」
黙って陸遜を見つめたまま聞く。
「それを直接皇帝陛下に献上したら、まぁ信じてもらえればだろうけど、それなりの栄誉とそれなりの恩賞がもらえる?
 でも彼は裕福だからそんなものはあんまりありがたくないかも知れない。

 これから実力第一になるであろう呂玲綺に献上したら、彼女はそれを帝に渡すかそれとも……どちらにせよ実利は実力者に渡したほうが大きい、と判断するだろうね。
 でも本物だと信じた実力者は、自分がそれを入手したという情報を抑えるために商人の口を……それが怖かったのさ。」

きょとんとする玲綺。

「で、どうするの? それ。それからあの商人に追っ手を差し向けて殺すの?」
「え!?」



勿論豪商の口封じなどしなかった。問題はこの剣だった。
陸遜と相談もした。恐ろしいほどの名剣だが、高祖の剣だという確固たる証も無かった。

「ならば君が黙って下げていたほうがいい」陸遜は陸遜で考えることがあるようだったが、玲綺は従うことにした。
何しろこれほどの業物は一生に一度お目にかかるかどうかだ。
戦場ではこれと七星刀と併せて二刀を下げることにした。勿論父の画戟を持ってだ。



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分断された曹丕の勢力圏は、方天画戟の玲綺を先頭に各個撃破されていった。それに伴い玲綺の位が曹操に取って代わっていく。
曹操の復活させた丞相位に就き、その半年後には遂に公位が授けられる。
荊州から旗揚げした経緯もあり、玲綺は「楚公」と呼ばれることになった。

「きらびやかすぎんだよねこの服」と丞相の官服に困り顔の玲綺。

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「そもそも漢の政(まつりごと)なんて、アタシは形式だけじゃん……」
申し訳なさそうな顔で机に突っ伏す玲綺。実務は陸遜や諸葛亮らが行ってくれるのだ。
「言ったろ? 君は僕らが持ってきたことを正しいか正しくないか決めてくれればいい。」
片目をつぶる陸遜に、嘆息する玲綺。近年は嘆息することが増えたかもしれない。



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そして222年、幽州に曹軍閥を追い詰めた。最後まで彼らも懸命に抵抗したが、圧倒的になっている官軍の前には押しつぶされるだけだった。



「縄ほどいてやれ」

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言われて玲綺の前に立ちあがった曹丕は堂々としたものだった。英雄曹操もこうだったのかな。
曹孟徳に直に会ったことの無い玲綺は、息子の彼から面影を想像することしか出来なかった。

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「アンタに恨みは無い、けどずっと殺りあってきたアタシらとアンタらだ。やっぱり勝ち負けが決まったら、大将だけは死ななきゃみんなのケジメにはならないよ。
 悪いな。」

無言で薄く笑うのみの曹丕。玲綺が立ち上がった一拍後に斬蛇剣が煌く。
立ったままの曹丕の首が落ちるのを受け止める。



「戦場以外での人死には嫌いだ! 据え物を斬るのはこれで十分だ!」
玲綺は他の曹一族、夏侯一族に言い放つ。

「アタシも腕一本で恨みを晴らすために出発してここまできた! 同じことが出来るというなら幾らでもかかってこい!」
降将は躊躇無く受け入れ、恨み骨髄を口にする硬骨漢は解き放った。
曹操にだけ恨みを晴らし、自分に対してはその機会も与えられないというのでは不公平というものだろう。

そして想像していなかった人物が降将の中にいた。

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「しかしお前も長生きだね……ホントに馬か?」

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「お前、アタシが娘時代にもこうやって背中流してやったんだぞ、覚えてるかー。」
ひょっとすると自分より年上かもしれない。そう思いながら玲綺は気持ち良さそうな赤兎の背を手入れする。
まさか曹操が奪い取った赤兎が、まだ曹丕を乗せて元気だとは思っていなかった。
「お前が元気なんだもん、そりゃー曹操も曹丕も逃げおおせるわけだわ。」

(しかし、劉備は今更アタシと漢朝で肩を並べるのは矜持にかかわるってことなのかね……)

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そう考えながら赤兎に櫛を入れてやる。
旅立つんなら関羽さんや張飛や孔明先生にはウンとお礼をしなくちゃな、そう思いながら赤兎に水をかけてやっている馬小屋へ陸遜が来た。

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「ちょっと内密の話があるんだ。」

いぶかしがる玲綺に陸遜が近づく。そっと錦の小袋を玲綺に渡す。
「曹丕が持っていると思って一生懸命探した。これは君が持つべき武器だ。」





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「……なにこれ?」
玉で作った立派な印だ。龍の頭は一部が欠け黄金で補修されている。
「伝国璽だよ」陸遜は声を潜める。「皇帝の証さ」

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!!……ちょ、これすぐに帝に渡さなきゃ。これってあれでしょ? 董卓が逃げたときに洛陽で無くなったっていう、」「だめだ。」陸遜が声を重ねる。

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「その印と君のその剣は、君の最後の武器だ。」



固まったまま玲綺は首を振る。理解できない。

陸遜は深く鼻から息を吐いてから小声で語る。
「勘違いしちゃいけない。君が帝にどうこうしろって話じゃない。むしろ逆さ。
 
 君は遂に曹操を打ち破った。漢では並ぶものの無い、この中華で最大の権力者さ。
 分かってはいるだろうけれど、帝より実力は上なんだ。このことは理解できるね。」

うなづいて落ち着いて理解しようと試みる。陸遜が自分に変なことを言うわけが無い。

陸遜は更に小声になる。
「漢という国は落ち目な時は臣下を重用するが、一度磐石になると手のひらを返す文化がある。
 いい例が高祖劉邦だ。彼は見識に優れた名君ではあったが、その一方で晩年は猜疑心に捉えられた。
 功臣韓信・彭越・英布はその見本さ。『狡兎死して走狗煮らる』はあまりにも有名だよ。
 近い例では曹孟徳だってそうだよ。彼も何度も皇帝の側から命を狙われている。
 
 今の君はそれに一番近い位置にいる。今でこそ救国の女英雄だろう。お父上の悪名は十分に返上されただろう。
 でもこれからは違う。帝を凌ぐ権勢者には尊敬と共に、恐怖と嫉妬心が降りかかってくる。
 皇帝の威を借りようという連中が、今度は君を排除しようと動き出す可能性はあるんだ。」

「でもそんなんならアタシ権力なんていらないよ……」陸遜の話に恐怖を感じる玲綺は涙声になる。
「落ち着いて聞いて欲しい」陸遜は言う。

「難しいのは、君が仇討ちは終わったって言って田舎にでも引き篭もれば済む話じゃないってことだ。
 平和な時代ならともかく、まだ江南に同盟者とはいえ孫権が割拠して、巴蜀には張魯と劉循、北には袁紹の残党が独立している。
 今君が引退したら、また彼らの権力争いで延々と戦が始まるんだ……」



「つまりは」こういった陸遜との会話は20年もつきあって慣れてきている。少し黙って考えて玲綺は理解した。

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「この二つの皇帝の証をアタシが保持しているということが、帝側がアタシに手を出しにくいネタになるってことだね。」黙ってうなづく陸遜。

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「僕のほうで、伝国璽と斬蛇剣を呂玲綺が発見しているらしいって噂をそれとなく流すよ。
 これは一種の賭けだ。それをもってして帝位簒奪の証と見る向きもあるだろう。でも遅かれ早かれ、この肥大した呂勢力に反感を持つ一派が動き出す。
 この中華はまだ平穏じゃないってのにだ。愚かしいことだよ。
 どうせ敵が現れるなら、いつでも帝位が奪えるんだぞって実力者が伝国の宝物も持っている。そっちのほうが逆らいにくい圧倒的な立場さ。
 下手に動いて武力制圧されても、向こうは何も言えないからね。

 僕らは中華を完全に治めるまでは、安心して寝られないって事さ。」

玲綺は鼻から大きく息を吐く。近年何回目の嘆息だろう。

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「ああもう、こういう剣で叩っ斬れない敵ってのが一番苦手だね。爸爸の仇討ちで首を突っ込んだとはいえ、面倒くさい話さ。アタシのほうは帝を裏切りたくなんか無いのに。
 ……でもアンタが目端の利くダンナでホントに良かった。一番の恩人だよ。」
そう言って軽く口付けして少し赤面する。

並んで馬小屋を出た。戦いはまだ終わらない。

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    V120>>S80=D80>A70=I70>>>>L1 と比較的フラットに振り直してみた。
    もういっちょ振り直し権保持。
    虎靴なんざ無いのでアンティ散財しないと臨時入れない。
     

    RR弱体化でどうすべきか考えていたRK114/45。
    S90>A80=V80>>D30>>I12>L1 ステもスキルも迷走中だが振り直し権は保持。
    大規模狩りの釣り役が廃れそうで、INTを上げてスキル狩り出来るようにすべきか……地デリ本帽に頼っていけるか……
     

    元ネタは高校時代にWARES_BLADEというTRPGで作った斧使いの女戦士。キャラクタープレイ第1号でした。
    まぁ一応ドカタにはなりました。けどRRではドカタ厳しくなった?
    現在109/41。S120>>>V60>A50>>>I1=D1=L1
     

    金策ちゃん2号。こいつもWARES_BLADEのキャラでダングス公王朝の妾腹の盗賊姉ちゃん。
    ROでは盗作砂葱。現在76/45。
     

    AGI素騎士:82/49
    スイッチアサシン:89/50
    パッシブ発勁モンク:94/50
    短剣豆:54/18
    殴りプリ:71/38
    水火ウィズ:68/30
    付与セージ:65/30
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    メインナイト。オハン・アルマス・イージス・エクス・アポ作成。
    FFXI自体がVU停止とのことでDQXへと時空転移。
     
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    <大航海時代Online>
    Notos鯖。課金停止。
     

    ↑左右目の傷が逆だけど、雰囲気ある顔立ちにキャラメイク出来た。
     
    シルヴィア.L:
    Notosイングランド運び屋 一等勲爵士 43/46/52 倫敦武装商会所属
    ミランディー:
    Notosイングランド用心棒 准六等勲爵士 19/45/17 倫敦武装商会所属
    エンドラ大尉:
    Notosイングランド薬品商 六等勲爵士 22/42/20 ラグーン商会所属
     
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